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悪臭

【悪臭とは】

  • 悪臭とは、騒音・振動と並ぶ感覚公害です。
  • 悪臭を客観的に評価するため、臭気指数(臭気濃度)または特定悪臭物質一覧表参照)の規制値が定められています。
  • 悪臭調査には、「嗅覚測定法」や「機器分析法」を用います。
  • 人の嗅覚を用いて「におい」を測定する官能試験を「嗅覚測定法」と呼びます。
  • 「嗅覚測定法」は、複合臭が評価可能で、人の感覚に近い結果が得られるという利点を持ちます。
  • 三点比較式臭袋法(排水の場合は三点比較式フラスコ法)と呼ばれる嗅覚測定法で、臭気指数(臭気濃度)を算定します。
  • 特定悪臭物質とは、政令により定められている悪臭原因物質(現在22物質)です。
  • 特定悪臭物質は、機器分析により単一成分ごとに定量します。悪臭原因物質の排出が判明している事業所を評価する場合、明確な指標となります。

【悪臭対策の動向】

 不快感により生活環境を悪化させる要因となる悪臭公害は、昭和40年代に苦情・陳情が著しく増加し、全国的な問題となっていました。
 これを受けて、行政は、悪臭に対する以下の法令整備等によって、対策に乗り出しました。現在、日本においては、これらの法令によって、規制されています。

 以降、関連法令の制定・改正や、地方自治体ごとの独自の取り組みにより悪臭対策は整備されてきました。
 かつての苦情の対象は畜産農業や大規模生産工場等が中心であり、多くの地方自治体は特定悪臭物質の濃度や排出量を規制することによって悪臭問題に対応していました。
 しかし近年は都市化が進み、飲食店等の小規模店舗や個人宅に対する苦情が増加しており、単一成分ごとの規制では対処しきれなくなって来ました。このため現在の悪臭規制の主流は、あらゆる種類のにおいや複合臭を評価可能である臭気指数に移行しています。


【ムラタの取り組み】

  • 臭気指数及び臭気排出強度の算定の方法
     悪臭分析として、平成7年環境庁告示第63号「臭気指数及び臭気排出強度の算定の方法」に基づく三点比較式臭袋法による臭気の測定を行っています。
  • 特定悪臭物質の測定の方法
     悪臭分析として、昭和47年環境庁告示第9号「特定悪臭物質の測定の方法」に準拠した機器分析を行っています。
  • 計量証明書の発行
     昭和47年環境庁告示第9号「特定悪臭物質の測定の方法」に準拠した機材及び分析装置により、試料の採取から機器分析を行い、計量証明書を発行いたします。
  • 臭気判定士
     国、地方公共団体以外の法人が臭気指数及び臭気排出強度を測定する場合、悪臭防止法第12条に定められた臭気測定業務従事者が所属している必要があります。当社は、臭気測定業務従事者の要件を満たす臭気判定士を擁しています。

【用語解説】

  • 6段階臭気強度表示法
     においの強さを「0:無臭」から「5:強烈なにおい」まで、6段階の臭気強度で表す嗅覚測定法です。悪臭防止法制定以来広く用いられており、特定悪臭物質の基準値を設定する際の尺度にもなりました。具体的には臭気強度2.5 – 3.5に対応する各物質の濃度の範囲内で基準値が定められています。
  • 特定悪臭物質
     昭和47年政令第207号「悪臭防止法施行令」に定められた『不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質』のことで、現在下記22物質が指定されています。
    因みに、単ににおいを有している物質は約40万種あるとも言われています。
    1 アンモニア
    2 メチルメルカプタン
    3 硫化水素
    4 硫化メチル
    5 二硫化メチル
    6 トリメチルアミン
    7 アセトアルデヒド
    8 プロピオンアルデヒド
    9 ノルマルブチルアルデヒド
    10 イソブチルアルデヒド
    11 ノルマルバレルアルデヒド
    12 イソバレルアルデヒド
    13 イソブタノール
    14 酢酸エチル
    15 メチルイソブチルケトン
    16 トルエン
    17 スチレン
    18 キシレン
    19 プロピオン酸
    20 ノルマル酪酸
    21 ノルマル吉草酸
    22 イソ吉草酸
  • 嗅覚閾値
     におい物質を薄めていくと、においの質やどんな感じのにおいかは表現できないけれどもにおいの存在を感じることはでき、これ以上薄めると全くにおいを感じなくなる境界に到達します。この時のにおい物質の濃度を嗅覚閾値と呼びます。
  • 臭気濃度
    希釈  においのついた空気や水を、嗅覚閾値まで薄めた時の希釈倍数です。例えば臭気濃度1000であれば、その試料を1000倍まで薄めるとほぼにおいが分からなくなる事を示しています。なお実際に排出口の試料を測定する時は、完全ににおいが分からなくなるまで試料の希釈を続けます。
  • 臭気指数
     臭気濃度の常用対数を10倍した数値です。
     人の感覚では、におい物質の濃度が10倍になったとしても、においの強さは2倍になったとしか感じません。逆に10分の1の濃度になった時は2分の1の強さに、100分の1の濃度の場合は3分の1の強さに感じます。この感覚に近付けた臭気の規制を行うため、臭気指数が用いられ始めています。
    臭気指数と臭気濃度の関係は、次式で表されます。
     臭気指数= 10 × Log10(臭気濃度)
     なお、平成7年環境庁告示第63号に従う場合は、一旦臭気濃度を求めてから臭気指数へ換算するのではなく、嗅覚閾値や正解率から直に臭気指数を算出します。
  • 三点比較式臭袋法
    臭気判定  試料を無臭袋中で測定に適した濃度に希釈し、無臭空気のみ入った2つの無臭袋といっしょに6名以上のパネルに嗅がせ、3つの袋の中から1つ選び、においの有無を判定させる嗅覚測定法です。排出口の試料と敷地境界の試料では、手法が多少異なります。
     排出口の場合は、不正解になるまで試料を希釈していくことで個人の閾値を出し、上下2人の数値をカットした平均値を用いて臭気指数や臭気濃度を算出します。
     敷地境界の場合は、まず同じ濃度で3回測定してパネル全体の正解率を出します。次に最初に測定した時の10分の1の濃度で3回測定し、正解率を出します。(この時の正解率が0.58以上である場合はさらに10倍希釈して試験を続行します。)これら2つの正解率を用いて臭気指数、臭気濃度を算出します。ただし、においがほとんどしない試料の場合は、最初に10倍希釈して測定した時点で正解率0.58未満となり、試験を終了することもあります。

【関係法令等】

 主要な法令等のリンクです。その他の関係法令については、最下行に示した環境省のリンク集を参照してください。


【関連WEBサイト】


表. 特定悪臭物質規制値一覧(「悪臭防止法施行規則」別表第一より

  物質名 敷地境界における規制値の範囲(単位:ppm)
1 アンモニア 1 – 5
2 メチルメルカプタン 0.002 – 0.01
3 硫化水素 0.02 – 0.2
4 硫化メチル 0.01 – 0.2
5 二硫化メチル 0.009 – 0.1
6 トリメチルアミン 0.005 – 0.07
7 アセトアルデヒド 0.05 – 0.5
8 プロピオンアルデヒド 0.05 – 0.5
9 ノルマルブチルアルデヒド 0.009 – 0.08
10 イソブチルアルデヒド 0.02 – 0.2
11 ノルマルバレルアルデヒド 0.009 – 0.05
12 イソバレルアルデヒド 0.003 – 0.01
13 イソブタノール 0.9 – 20
14 酢酸エチル 3 – 20
15 メチルイソブチルケトン 1 – 6
16 トルエン 10 – 60
17 スチレン 0.4 – 2
18 キシレン 1 – 5
19 プロピオン酸 0.03 – 0.2
20 ノルマル酪酸 0.001 – 0.006
21 ノルマル吉草酸 0.0009 – 0.004
22 イソ吉草酸 0.001 – 0.01

※ 規制値は、上記の範囲内で各地方自治体が地域ごとに定めます。
『ppm』とは100万分の1を表しています。例えば 1 ppm は、体積濃度 1 μL / L です。

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