文字サイズ

大気質

【大気質調査とは】

 大気質調査は、環境基準の適否判断のほか、環境基本計画等の策定、環境影響評価における現況把握・事後予測、さらには広域的汚染のメカニズム解明のための基礎資料として活用されています。

  • 空気中に含まれる人体に影響を及ぼす可能性のある物質の調査のことを示します。
  • 大気に係る環境基準(環境省HP)が設定されている項目は、表.大気質の調査項目に示すとおりです。

  • 表.大気質の調査項目
    項目 測定方法
    二酸化いおう
    (SO2)
    溶液導電率法又は紫外線蛍光法 
    一酸化炭素
    (CO)
    非分散型赤外分析計を用いる方法
    浮遊粒子状物質
    (SPM)
    濾過捕集による重量濃度測定方法又はこの方法に
    よって測定された重量濃度と直線的な関係を有する
    量が得られる光散乱法、圧電天びん法若しくはベータ
    線吸収法 
    二酸化窒素
    (NO
    ザルツマン試薬を用いる吸光光度法又はオゾンを用いる
    化学発光法
    光化学オキシダント
    (O
    中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法若しくは
    電量法、紫外線吸収法又はエチレンを用いる化学発光法
    ベンゼン キャニスター又は捕集管により採取した試料を
    ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
    トリクロロエチレン
    テトラクロロ
    エチレン
    ジクロロメタン
    ダイオキシン類 ポリウレタンフォームを装着した採取筒をろ紙後段に
    取り付けたエアサンプラーにより採取した試料を高分解
    能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
    微小粒子状物質
    (PM2.5)
    微小粒子状物質による大気の汚染の状況を的確に
    把握することができると認められる場所において、
    濾過捕集による質量濃度測定方法又は
    この方法によって測定された質量濃度と等価な値が
    得られると認められる自動測定機による方法
    非メタン
    炭化水素
    水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ法
    ※非メタン炭化水素は環境基準ではなく「光化学オキシダントの生成防止のための
     大気中炭化水素濃度の指針値」が定められています。

大気質の調査は、主に下記のような場面で、行われています。

  • 一般環境中に含まれる大気質調査
  • 道路沿道における自動車排出ガス由来の大気質調査
  • 工場や煙突等からの排出による大気質調査
  • 法律で定められた一定以上の規模の都市開発行為に伴う大気質調査

【大気質調査の動向】

 日本では、昭和30年代の高度経済発展期以降から大気の汚染などの公害が深刻になりました。その後、昭和42年に、公害対策基本法(平成5年廃止。環境基本法に引継ぎ)が施行され、この法律により環境基準が定められ、以後、大気汚染に関して「国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全すること」を目的とした活動が始まりました。
 昭和43年には、大気汚染防止法が制定され、国・自治体によるばい煙等の排出規制や、大気汚染の常時監視等がなされるようになりました。

 現在、常時監視測定局は全国で一般環境測定局が約1500測定局、自動車排出ガス測定局が約400測定局あります。これらの測定局の測定データは、テレメータシステム等により集中監視局に転送され、速報値としてホームページにて公表されています→環境省大気汚染物質広域監視システム(愛称そらまめ君)
 また、二酸化窒素に係る測定局における年平均値は、近年緩やかな改善傾向が見られます。(環境白書

 一方、開発の規模が大きく、多くなるにつれて、人の健康、生活環境及び自然環境に対する影響が懸念されるようになり、事前に環境に対する影響を予測・評価しようと環境影響評価(環境アセスメント)が各地で条例化されていきました。平成9年環境影響評価法が制定され、環境影響要因の一つである大気質の予測・評価は、対象事業が実施される地域の特性を把握できるように、調査期間を考慮して行った現地調査の結果をもとに、近隣の常時監視測定局結果などとも比較しながら行われています。
 近年、大気質に関する主な課題としては、微小粒子状物質(PM2.5揮発性有機化合物(VOC)ダイオキシン類などの低減化が挙げられ、排出規制などの対策がとられています。


【ムラタの取り組み】

  • 自社保有の自動測定器(乾式測定器導入済み)
    測定風景  特殊な場面や、多くの測定項目にも対応できるよう、当社では、各種自動測定器を多数保有しています。
     乾式測定法は、従来の湿式測定法とは異なり、吸収液を使用しません。よって、吸収液の交換・廃棄が不要で、湿式測定法に比べ、環境への負荷が若干ではありますが改善されています。また、測定器本体が小型になったため、設置場所については、選択の幅が広がっています。

【用語解説】

  • 環境基準
     環境基本法第16条で「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする」とされています。
  • 一般環境大気測定局
     一定地域における大気汚染状況の継続的把握、発生源からの排出による汚染への寄与及び高濃度地域の特定、汚染防止対策の効果の把握といった、常時監視の目的が効率的に達せられるよう配置する。
  • 自動車排出ガス測定局
      自動車走行による排出物質に起因する大気汚染の考えられる交差点、道路及び道路端付近において大気汚染状況を常時監視するための測定局。

【関係法令等】


【関連WEBサイト】