環境水中に存在する医薬品はpptオーダーで極微量な濃度です。なので高感度な測定装置が必要になります。高感度な分析装置といえば質量分析計ですね。それでもpptオーダーを簡単には検出できないでしょう。そこで前処理操作を行って試料を濃縮します。
前処理(固相抽出)・・・
前処理には主に二つの役割があります。試料中の夾雑物を取り除くクリーンアップ効果と分析したい対象成分の濃縮です。
水試料からの有機物質の抽出方法として代表的なのが、液液抽出と固相抽出。近年汎用されるようになった固相抽出は、液液抽出と比較して溶媒使用量が少量で済むことや自動化もできちゃうので分析者にとっては楽チンなことも利点です。
(自動化したときに使用する、試料を固相に通水させるまでのラインに分析成分が吸着しちゃうと面倒なので安易に良いとも言えないですけどね・・・)
固相抽出は液体クロマトグラフィーの概念の延長で開発されたものです。だから充填剤も同じように逆相、順相、イオン交換などの種類があります。分析成分や前処理の目的に沿った固相を選ぶと、充填剤に分析成分もしくは夾雑物を吸着して、試料から分析対象成分を抽出することができます。
水試料中の医薬品を抽出するにはどんな種類の固相を使えばいいのでしょう?医薬品と一言で言ってもその物性はいろいろ。でもダイオキシンや農薬なんかに比べると、水溶性の高いものが多いです。そこで水溶性が高く、イオン性の医薬品ならイオン交換基を持った充填剤を使うと良いのでしょう。でも多種類の医薬品をいっしょに分析したいときには、物性ごとにあるグループは陽イオン交換、もう一方で陰イオン交換、さらに逆相系の・・・なんてやってると、確かに良い結果が得られるかもしれませんが、時間やコストがかかってしまいますね。だから多成分を一斉に濃縮したい!となるとやっぱり基本の逆相になってしまうのかな。逆相の中にも、シリカゲルにアルキル基やアルキルフェノール基などの官能基を結合させたものいろいろですが、同じ逆相でもポリマー樹脂を充填剤にしたものもあります。
有機化学物質の測定にはGCやHPLCが用いられていますが、微量分析なら検出部には高感度分析できる質量分析計(MS)がぴったりです。HPLCの検出器には最も汎用されているUVでの検出限界はngオーダーなのに対して、MSを使用することで1000倍程度高感度に分析することができるそうです。もちろん分析対象物質にもよるでしょうけど・・・。
GCとHPLCの使い分けを簡単に言ってしまうと、分析成分が揮発性であるかどうか?といった点で変わります。一般的に分子量の大きい物質は沸点が高いので、試料を気体にして導入しなければならないGCには向いていません。LC-MSは近年急速に発展してきましたが、このようにGC-MSでは分析が困難であった成分も、LC-MSの登場で多くの有機化合物の微量分析が可能になり、次々とアプリケーションが発表されています。
LC-MS/MS・・・
LC-MSでは試料が液体なので大気圧でイオン化されます。最も汎用されているイオン化法はESI(electrospray ionization)ですが、平面構造をした多環芳香族などイオン性の低い物質はAPCIが使用されるようです。質量分析計には、四重極型、イオントラップ型、時間飛行(TOF)型、磁場型などいろいろあります。ESI法と相性のよく最も汎用されているのは四重極型です。
MS/MSは2つの質量分析計をつないだものを指します。1つ目のMSで分析対象成分がイオン化されたときのイオン(プレカーサーイオン)のm/zを選択した後、アルゴンなどの不活性ガスを衝突させることで、イオンを分解(フラグメンテーション)し、その分解したイオン(プロダクトイオン)を2つ目のMSで測定します。
国内外での研究報告
環境中の医薬品の流れ及び汚染実態
分析方法及び測定方法
最後に