わたしたちが使用した医薬品はどこに行くのでしょうか?内服薬を服用した時、体内で100%代謝できるとは限りません。むしろ100%代謝できる薬の方が少ないと思います。代謝されずに排泄された医薬品は下水処理場に、また軟膏などの外用薬も患部に塗布した後お風呂などで洗い流され下水処理場に流れていくでしょう。あるいは、家畜で使用した抗生物質をはじめとする医薬品は地下水へと浸透しているかもしれません。
日本の下水処理場で広く採用されている処理方法は標準活性汚泥法。微生物を利用して有機汚染物質を分解除去します。しかし医薬品の中には分解性の低いものもあり、下水処理場では処理できないのでは?と考えられています。処理できない場合には河川にそのまま放流され、汚染してしまいます。
医薬品は本来の持つべき性質からも分かるように生理活性があるので、河川に放出された医薬品は水生生物に影響する可能性が考えられます。また抗生物質に対しては薬剤耐性菌の発生の一因になり得るとも考えられています。
医薬品の環境への影響を明確にしていくことも重要だけれども、どんな医薬品が下水処理場で分解除去できないのか?どんな医薬品がどれくらいの濃度で河川水中に存在しているのか?も知りたいところですね。
どんな医薬品が、どれくらいの濃度で環境中に存在しているのでしょうか?
環境水中に存在していることが確認されている物質はたくさんありますが、その濃度もさまざま。pptオーダーから高いものでppbオーダーで存在します。
ある下水処理場における存在量を調べてみました。
薬局などで気軽に購入できる皆さんにもなじみのある名前の一般用医薬品について、風邪薬によく配合されている「アセトアミノフェン」は下水処理場への流入水中では数十ppbと他の医薬品と比較して非常に高濃度で存在しますが、放流水中には数十pptで、下水処理場において高い除去率を示しています。水虫薬などのかゆみどめに配合されている「クロタミトン」は下水処理場の流入水においても放流水においても数百pptのオーダーで検出され、ほとんど除去されていませんでした。
抗生物質である「クラリスロマイシン」も若干除去されるようですが、流入水、放流水ともに数百ppt存在していました。
(数値は1つの下水処理場においてスポット採水して調査した結果です。下水処理場、季節などによって存在量が異なることが予想されます)
現在国内で流通している医薬品の種類は数千種類とも言われています。ここで紹介したのはほんの一部なんです。まだまだ調査されていない物質もあります。とは言ってもすべてを調べていくのは大変!生産量の多いものや抗生物質、リスク評価の結果危険度の高いものなどから順に環境中での存在を確認していくことが妥当なんでしょうね。
国内外での研究報告
環境中の医薬品の流れ及び汚染実態
分析方法及び測定方法
最後に