先日「2009トライアスロン世界選手権シリーズ横浜大会」が山下公園周辺で開催されました。自然にあふれたトライアスロンコースは日本に数多くありますが、国際都市である「横浜」の市街地を走るコースは、世界的にもまれな都市型の大会のようです。トライアスロンといえばスイム、バイク、ランをたて続けにこなす過酷な競技です。横浜市街は道がきれいに舗装されており、選手が自転車を漕いだり、走ったりするのに適した環境と言えます。しかし、山下公園前の海域が泳ぐ環境として適しているかと尋ねられると正直疑問です。なぜなら、横浜港の水環境は下水の高度処理や事業場排水の規制などにより改善方向に向かっているものの、依然赤潮や悪臭の発生などの課題が残っているからです。
何か対策は講じられていないのか。調べてみると昨年度から横浜市環境創造局が「きれいな海づくり」事業の一環で、市民、事業者と連携して水環境改善を図っておりました。それでは水環境の改善にはどのような手法が利用されているのでしょうか。
浄化方法として用いられたのは海中に存在する生物が持っている浄化能力を活用するというものです。まず浄化する範囲をカーテン状のスクリーンで仕切り、赤潮や雨水など汚濁の侵入を防ぎます。スクリーン内にはワカメなどの海藻やイガイなど多くの生き物が生息しています。プランクトンや海藻類は窒素や燐などを養分とし、魚やエビ、カニはプランクトンや藻を食べます(窒素や燐、藻などは生物にとって必要なものですが、過剰な存在は自然のバランスを崩し、海を汚してしまいます)。
このように、海の汚れは生き物に取り込まれながら浄化されていくのです。この手法の特徴は、莫大な費用かけて特別な浄化施設を設けるなどの方法をとるのではなく、海が本来持つ能力を生かし、海中生物の力できれいな海をつくるというところにあるそうです。
スクリーンの内の水質を向上させた結果、水浴基準や国際トライアスロン連合の水質基準を達成することに成功し、横浜港の海で、トライアスロンのスイム競技が無事開催されました。近い将来、横浜の海が海水浴客で賑わう、そんな日が訪れるかもしれませんね。
(野川)

横浜港にて